Kuro Kishi-sama kara Zenryoku de Dekiai Sareteimasu ga, Sugomori Seijo wa Kyo mo Hikikomori Tai! Raw
巣ごもりに特化して成長したため、いつボロが出るとも知れない。敵軍に突撃するためには、もっと効果的な武器がほしい。
(たとえば、何があっても曲がらない背筋とか、王族らしい神々しさとか……)
無い物ねだりをはじめたルルは、ピンとひらめいた。
「ねえ、ノア。わたしに、また魔力を分けてくれない?」
聖堂に押し入って、ジュリオの演説を中断させたときのように、金貨一枚分のキラキラをまとえば、少なくとも神々しくは見えるはずだ。
金貨を一枚つまんで差し出すと、ノアは珍しく首を横に振った。
「魔力をまとわなくとも、ルルーティカ様は美しく清らかです。周囲は、この方こそ聖王になるべきだと気づくでしょう」
「そう思ってくれるのはノアだけだわ。今夜の晩餐会では、嫌でもジュリオと比べられるんだから、万全の状態で行きたいの。一枚で足りないなら、二枚でも三枚でも、十枚でも渡すわ」